「助長」?
「助長」は、良くない意味で使うものと認識していました。人の成長や物事の進行を助けるつもりで余計な手助けを行うことで、結果的には当事者のためにならない状態を作ってしまう。本人の主体性を削ぐということで、コーチなど人の育成に携わる者として行ってはいけない、との意味です。
しかし、助ける、成長という漢字を想いうかべ、良い意味で使う人がいました。
語源を調べてみると、『孟子』の「苗を助けて長ぜしむ」に由来し、「成長しない苗を不必要に引っ張ることで、苗が枯れてしまう」という故事に基づくとありました。私の認識は間違っていなかったのですが、言葉は生き物、その意味も変化するのでしょうね。すでに変わってしまった言葉も沢山あります。
言葉はさておき、「成果を焦って、それも自分が望む成果に向けて、相手を引っ張ってしまう」のは戒めなくてはいけません。
私が「コーチング」を説明する時、「植物を発芽成長させ、花を咲かせ、実をならせるために必要なことは何か?」を考えてもらうのは間違っていませんね。
また「啐啄同機(そったくどうき)」を引用することもあります。
ザクロが教える“助長”

さて、今回のアイキャッチ画像は、散歩中に立ち寄るお寺の境内で見つけました。風の影響か、重くて枝が垂れ下がっていました。色づき方がとても可愛く感じました。
しかし、目指す姿はこちらの写真。ザクロの実は自然に熟してはじけ、中から赤い種子をこぼす。それは人が手を加えずとも内側から満ちていく生命力の象徴のよう。
もし人が「もっと早く割れろ」と無理に手を加えたら、かえって果実は傷み、命はつながらないでしょう。
ここに「自然のリズムを尊重せずに助長すれば害になる」という故事とのつながりを見いだしました。
現代の私たちの生活でも同じことが言えるのではないでしょうか。子どもの才能を伸ばそうとするあまり過干渉になったり、部下を励ますつもりが圧力に変わってしまったりすることがあります。
逆に、環境を整え、そっと支えることで、人は自分の力を発揮するものです。ザクロが教えてくれるのは、真の成長とは外から急かされて生まれるものではなく、内側の力が満ちたときに自然とはじけ出すものだ、ということ。私たちが行うべき「助長」は、その瞬間を信じ、見守ることなのかもしれません。

ザクロは熟すと実が割れ、内部に無数の種子が詰まっていることから、子孫繁栄や豊穣を象徴する果実として世界中で捉えられ象徴化されています。
話は変わりますが、熟すと割れて、種が多くて・・・、というと「アケビ」も同じですね。
こちらの写真は、アケビの仲間で「ムベ」、ご近所の垣根に絡まっているのを見つけました。まだ青いですが、熟すと暗い赤紫になりますが割れることはありません。アケビと同じように種の周りをしゃぶるのですが、ほんのり甘い味で「不老長寿の実」と言われています。もう少ししたら頂戴してみましょう。
今回は、植物の生きる力とコーチの在り方をつないでみました。
コーチは、環境を作るだけ。


