苔の禅寺 貞祥寺

▲ 一面に苔むした緑の参道

マイ温泉でリフレッシュ

私が勝手にそう決めている信州佐久の「マイ温泉」、英気を養うために出掛けてきました。
温泉に入りたくなったり、入ると元気になるのは何故なのでしょうか。
蓼科牛と佐久の鯉を頂いて、確実にエネルギー源は補給しました。
他に何の計画も無く、宿で見かけた難しい漢字の並んだ「洞源山開創五百年慶讃大法要虔修」のポスターに惹かれて訪れてみました。

開創五百年の禅寺

「洞源山」は山号で、お寺の名前は「貞祥寺」。行ってみると、随分以前に一度訪問しているお寺でした。苔むした境内と杉や欅、銀杏の大木に記憶が蘇りました。

貞祥寺は室町時代にこの地を治めていた伴野貞祥が開基した曹洞宗のお寺で、七堂伽藍(金堂・塔・講堂・食堂・鐘楼・経蔵・僧坊・回廊・門など、必要な建物を全て備え、大勢の僧侶が住んでいる大きな寺院を示す言葉)を備えた佐久を代表する古刹でした。

戦後、特にヨーロッパにおける坐禅普及に大きな影響を与えたお寺として海外でも有名で、現在も毎月第1、第3日曜日の早朝には坐禅会が開催されており、宗教を超えて坐禅を愛好する人々が訪れているそうです。

重厚な山門、狛犬が居ます

今年は、開創五百年を祝う大法要を行っているのでした。

山門には「洞源山開創五百年慶讃大法要虔修」の横断幕が掛けられています。

この山門写真に小さく「狛犬」が写っていますが、奥の本堂にも「狛犬」が構えています。明治政府の「神仏分離令」を乗り越えて神仏習合の風習が残っているのですね。

見事な大杉が緑の絨毯に

それにしても、この苔むした境内は美しく落ち着きます。洗われる感覚、この「空気」の違いは何なのでしょうか?
植物が持つ力? 霊的な力、氣の流れがあるのでしょうか?

参道の石段途中に、茅葺き屋根の「島崎藤村の旧宅」がひっそりと佇ずんでいました。
島崎藤村が小諸義塾の教師をしていた明治32年から6年間過ごした家が保存されているのです。
当時は小諸にあったものですが、昭和47年の島崎藤村誕生100周年を機に移築復元されたそうです。

4月から11月の間は中に入り見学できるとありましたが、この日は閉鎖されていました。
縁側に座れば静寂な貞祥寺の境内を眺められ、風情ある囲炉裏や土間は、古き良き日本家屋を堪能することが出来そうです。

これからは、マイ温泉の帰り道ぴんころ地蔵さんと同様に「心を洗う場所」として立ち寄ることになるでしょう。