上善若水

▲ 川の流れのように

昇り龍、降り龍

「新しい芽を見つける」と元旦に、その後のトピックスで「今年の仕事展開」へと、今月は色々と考えていました。
そんな折、「昇り龍」をキーワードにネット検索をしていると、いわき 絵のぼり 吉田さんのホームページのこんな記述に出合いました。

「昇り龍」は、地上に降りてきた龍(降り龍)が人々に「願いを叶える如意宝珠」を授け、再び天に昇っていく様子を描いています。
そのため、昔ながらの昇り龍図の場合、龍が手に持つ宝珠は描かれません。

昇り龍は「登竜門を通過した鯉が変化し龍神となった」という言い伝えから、心願成就を祈願する図柄と捉えて居ましたが、これを読み、私のあるべき姿は「降り龍」の方(何を残すか)だと感じました。

「下りる(おりる)/下る(くだる)」「降りる(おりる)/降る(くだる、ふる」どの表現が私に相応しいのか? 難しいですね。
何れにしてもその前提、必須条件としては、上って(登って)いなければならないですし・・・。

私の好きなTV番組に火野正平さんの「日本縦断こころ旅~人生、下り坂最高~」(NHK BS)がありますが、これにも苦しい思いをして坂道を登ったからこそ楽しい下りがあることを言っていると思うのです。また、一生懸命上っている時は見えなかったものが下り坂では発見できることを伝えているとも感じます。正平さんも蛇や昆虫、花など色々なものを見つけては立ち止まっています。

上善若水(上善は水の如し)

老子

前ぶりが長くなってしまいました。
「くだる」が浮かんだとき、私の頭には同時に「水の流れ」がイメージされました。
そして奥にあるのは、私の思想の原点である老子です。その老子の言葉に「上善若水」があります。

老子が最も良いとした「人生の生き方」を現した言葉です。

柔軟性と懐の深さ: 水は柔らかく、流動的でありながらも、その懐が深く包容力がある。
利他主義: 水は他のものを潤し、助ける。その様子が最も善であるとされる。
静かな力: 水は静かにしていながらも、大きな力を持っている。

“ 水から学ぶ ” 哲学は、戦国時代の武将黒田官兵衛の「水五訓」にも引き継がれており、戦いや、今は経営において大切な原則となっています。

官兵衛が提唱した「水五訓」と「上善若水」には、いくつかの共通点や関連性が見られます。官兵衛の水五訓は戦場での行動指針や戦略に関するものですが、
柔よく剛を制す: 水は柔軟でありながら強力なものを制することができる。
流転無窮: 水は絶え間なく流れ続け、変化する。
適材適所: 水は流れる先によってその性質が変わる。状況に応じて適切な行動をとる。
断則不流: どんなに強い水も、障害物に当たると流れが途切れる。必要なときには果敢に断つことも大切。
寄りて生ず: 人は仲間と協力し合って初めて大きな力を生む。

「上善若水」と「水五訓」は共に、柔軟性、変化、協力、効果的な力の行使などに焦点を当てており、水を通じて人生や経営、戦略においての賢明なアプローチを提唱しています。

春の窓辺

「上善若水」この老子の言葉に私の原点があったのでした。
「昇り龍」で始まった正月でしたが「上善若水」が私が目指す人生の方向です。

こちらの写真は私の書斎の窓辺、左側に写っている「サンスベリア(虎の尾)」は、十数年前に沖永良部島からやって来たもの、中央の「デンドロビウム」は、2020年11月のトピックスで紹介したものですが、10年ほど居続けてくれています。根本、鉢の周りに白い髭がなびいていますが、実はあふれ出た根です。この子は小さな鉢で育てた方が良いと聞いており、このような状況で毎年元気に多くの花を付けてくれます、花は昇り龍のようですね。