正論では動かない

▲ 「空気」が、誰よりも強い影響力を・・・

知識と行動のギャップ

大学工学部という環境で働いていた私が、コーチングを学び始めたときに学んだ衝撃の原則の一つ、それが「人は正論で動かない」です。
確かに、そう言われて、自分自身も含め周りを眺めると、それを立証する「人の振る舞い」がそこかしこに見られました。
そして教えられたのは「知識と行動のギャップを埋める」のがコーチの仕事であるということ。

人の判断には必ず感情が

その後、「経済は感情で動く」「世界は感情で動く」という経済学者のマッテオ・モッテルリーニさんが書いた2冊の本を読みました。

これらは、実際の人間はそんなに合理的に判断しているわけではなく、感情を優先して非合理的な行動をすることを明らかにし、経済活動において不合理な選択をとる理由を説明する「行動経済学」に関して述べています。
人間は物事を決定する際、どれだけ理性的に判断したと思ってもそこには必ず感情が入り込むという心理作用があることを実例を挙げて説明しています。

人が物事を判断するとき、論理的なアルゴリズムとは別に、直感的に素早く結論を出す「ヒューリスティクス」という脳の特性があることを学びました。

外から決定的影響を与える「空気」

今回出合った本 、山本七平著 “「空気」の研究” は、日本の典型的なハイコンテクスト(high-context)文化に根ざす、恐ろしい作用を解説しています。
脳の特性ではなく、外発的動機づけの一種と思われる「あの場ではそうせざるを得なかった、そういう空気だった」でとってしまう行動。

日本において「空気」はある種の絶対的権力を握っている・・・。現代の我々は、ますます「場の空気を読む」ことに汲々とし、誰でもないのに誰よりも強いこの妖怪を「忖度」して生きている。

少々難しい本ですが、この文章(引用)だけでも、とても大きな問いかけであることが分かります。

コーチの立場からすれば、「事実と解釈を区別する。何が事実でどこからが解釈か?」「外的条件から全く自由だったらあなたはどうしたいのか?」などの対話で、この「空気」を表出させようと試みるかも知れませんが、逃れることが出来ない重圧だとも思います。ここでも正論は通用しません。
■どうする家康(どうする智玄)■

「ポポーの実」

ここまでの重い話とは一転、全く関係のない話題です。
先日、「ポポー」(Pawpaw、ポポ)という果物を、生まれて初めて知りました。
道の駅で出合ったのですが、名前の面白さから買ったのです。

熟れたポポー

ネットで調べてみると、色々興味あることが書いてあり、常温で熟させて食べるととても美味しい果実ということでした。
こちらの写真が10日ほど経って割ったもの。少々熟れすぎたかな?という感じですが・・・、その甘い味と芳香に驚きました。

「美味しいです。」
こんなに美味しい果物が流通していないのは? 私が知らなかっただけ? どうやらその理由は、熟すのが早く保存が利かないこと。収穫後すぐに表面が黒ずんでしまうので、流通が難しく、大規模な商業栽培は困難らしいのです。
ポポーの木は、寒さに強く、日本ではほとんどの地方で栽培可能。まったく虫がつかず病虫害に強く、無農薬で楽に栽培できると言われています。
庭木として一本植えておくと良いですね。