人的資本経営

▲ 学びの多いセミナーでした

ブロック塀と石垣

「聴き合う組織をつくる」をキャッチに謳うエール(株)主催のウェビナー〝「対話によるマネジメント」で実現する人的資本経営〟に参加しました。主催者挨拶の中で語られた以下の表現(例え)が、気に入りました。

これまでの組織イメージは、製造業の工場組織に代表されるような「人の数、時間、見えるスキル」と「ブロック塀のような組織構造」で生み出す「均一性を鍛え、力に換える」形。

これからの組織イメージは、創造性や独創性を糧にする知的生産組織で「人の思考、感情、価値観」と「石垣のような組織構造」で生み出す「違いを鍛え、多様性を力に換える」形。

厳しく言及

演題「人的資本経営の本旨」、日本共創プラットフォーム代取・冨山和彦さんの話。“きれい事では済まされないことが多々ある” から入りました。
生産手段を会社が持つ設備集約型産業で有形資産を効率よく回して儲かる時代はもう過ぎた。ヒエラルキー構造でのマネジメントは壊れざるを得ない。
「ここで既得権を奪われると拒否反応を示すマネージャーには、会社に金があるうちに退職金を払って辞めてもらうしかない」とも。

人的資本を活用した知識集約型への転換が必要であり、そこにはドラッカー提唱の「ナレッジワーカー」が見えてきます。ドラッカーの言う『ナレッジワーカーはボランティアとして取り扱わねばならない』の意味が分かってきました。

演題「国内外の統合報告書を全部読んで分かった人的資本開示の要諦」、Unipos(株)代取・田中弦さんは、日本と海外1,288社の人的資本開示を読み、そこから見えてきた世界を伝えてくださいました。そして、“日本の企業復活には「人」しかない。このタイミングで人的資本への投資を行わなければ復活は無い” と強く指摘。

ここでは紹介しきれない多くの情報の中で、私が面白いなと思ったことを少しだけ紹介します。それは日本と欧米企業で大きく異なるエンゲージメントサーベイ開示の表現手法。
欧米では、「従業員の85%はこう思っています」のように、主語が「従業員」で表現されているのに対し、
日本では、「我が社のエンゲージメントスコアは4.2でした」「我が社は、ランキングで表彰されました」のように主語が「会社」で表現されていること。
この表現の違いには、“戦略を実行するのは人” という考えで欧米の企業はその確からしさ(蓋然性)を開示しているのに対し、日本の企業は、我が社自慢をしている? この違いですね。

また、「倫理(ethics)はカルチャー」これも大切な観点。「スピークアップ」、日本では「内部告発」と言われますが、少々ニュアンスが異なって聞こえます。スピークアップはカルチャーなのです、一部の人が頑張って行うことではないのです。
こういった事業課題を開示し、人的資本投資で解決する道筋を示す。課題の開示から入ることが重要であり、「課題は伸びしろ」であると捉えて開示する。日本は遅れていると感じました。

「まず、チャンと聴く」

エール(株)代取・櫻井さんのご推薦

このウェビナーの締めで、エール(株)代取・櫻井 将さんが挨拶されました。「まず、チャンと聴く」は櫻井 さんの著書名です。
非常に単純な表現ですが、これがなかなか出来ないマネージャーが非常に多いのが現状で、私の仕事もそこにあります。

また櫻井さんは、松下幸之助著「人間を考える」を紹介されました。
そのお話を聞き、私もいま読み始めました。

「人間には、万物を支配する力が、その本性として与えられている」人間の本質を究めた「新しい人間観」とありますが、まだ腑に落ちきっていません。
もう少し(じっくり時間を掛けて)読み込みます。
素直な気持ちで。